「この物語は、この世界を彷徨い生きるすべての者の物語なのだ。」 ————姜信子
韓国文学セレクション
さすらう地
- 四六判上製
- 312頁
- 2300円+税
- ISBN 978-4-7877-2221-8
- 2022.06.30発行
- [ 在庫あり ]
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書評・紹介
- 藤原辰史氏評「荒野に捨てられた朝鮮の人びと」(「朝日新聞」2022年7月30日)
- 「韓国小説「さすらう地」の日本語版出版 強制移住させられた朝鮮人の物語」 (「聯合ニュース」2022年6月8日)
- 尾西康充氏評「《語ろうとして語りえないもの》」(「週刊読書人」2022年10月14日号)
- 「この世界の“声なき声”に耳をすます」(「聖教新聞」2022年11月1日)
- 全国学校図書館協議会選定図書
- 江南亜美子氏「書評委員が選ぶ「今年の3点」」(「朝日新聞」2022年12月24日)
- 姜信子氏(「みすず」2023年1・2月合併号「読書アンケート特集」)
- 金珉廷氏評「故郷を失い続けた人々の移住物語」(「東洋経済日報」2023年2月17日)
紹介文
「ママ、ぼくたち“るろうのたみ”になるの?」
1937年、スターリン体制下のソ連。
朝鮮半島にルーツを持つ17万の人々が突然、行き先を告げられないまま貨物列車に乗せられ、極東の沿海州から中央アジアに強制移送された。
狭い貨車の中で語られる人々の声を物語に昇華させ、定着を切望しながら悲哀に満ちた時間を歩んできた「高麗人(コリョサラム)」の悲劇を繊細に描き出す。
《さすらう地。さすらう闇。さすらう人々。
この物語は、この世界を彷徨い生きるすべての者の物語なのだ。》——姜信子
「キム・スムはこれまでも、一貫して「可視化されなかった苦痛、語りえなかった苦痛」を詳細に記録することで、忘れられゆく記憶を甦らせてきた。1937年の史実に基づくこの作品は、貨車の中で各々が語る身の上話や会話によって、見知らぬ土地で生き抜いてきた高麗人の歴史を重層的に浮かび上がらせている。」——訳者
装幀:北田雄一郎
目次
第一部
第二部
第三部
註
日本語版解説 旅人は「問いの書」を手に…………姜信子
訳者あとがき