きみは知らない

韓国で大きな反響を呼んだ話題作、ついに日本上陸!

韓国文学セレクション

きみは知らない

  • チョン・イヒョン/著
  • 橋本 智保/訳
  • 四六判上製
  • 448頁
  • 2300円+税
  • ISBN 978-4-7877-2121-1
  • 2021.04.20発行
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書評・紹介

紹介文

◎江南亜美子氏評(「朝日新聞」2021年6月12日)
《終盤の展開に、この著者らしい、人間存在へのぎりぎりの肯定感が読み取れる。家族の概念を問い直す、真摯な一冊だ。》

 

あなたはわたしを知らない、
だれもわたしを知らない——。

巧みなストーリー展開と観察眼で都市生活者の心の機微を描き、圧倒的支持を集めるチョン・イヒョンの話題作。
現代韓国文学を代表する作家のロングセラー長篇、待望の邦訳刊行

「日曜日は一週間のうちの一日にすぎない。でも、そうでない日曜日もある」
十一歳の少女ユジの失踪をきっかけに、次第に明るみになっていく家族それぞれの秘密。
一人ひとりのアイデンティティの揺らぎや個々に抱えた複雑な事情、その内面を深く掘り下げ、現代社会と家族の問題を鋭い視点で緻密に描いた長篇作。
ソウルの江南を主な舞台としつつ、在韓華僑のほか中国朝鮮族なども題材に、地勢的にも幅を広げて描くなかで、社会の隅で孤独を抱えながら生きる多様な人びとの姿をあぶり出していく。
韓国で大きな反響を呼んだ話題作、ついに日本上陸!

《本作は「ホーム」でも「家族」でもない「ハウス」に暮らす個人の話だ。家族の絆を取り戻すようなホームドラマではない。
著者も言っているように「家族小説ではなく、家族の中の個人を書いたもの」であり、「何もかも見せているようで隠し、隠しているようでも真実を見せる個人を、家族というつながりのなかで観察した」物語である。
家族はお互いわかり合えない集団だという認識から出発し、少しずつ歩み寄る姿勢を見せている。すると、家族というつながりの向こうに孤独な存在である人間が見えてくる。…………訳者》

装画:MISSISSIPPI
装幀:北田雄一郎

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著者紹介

チョン・イヒョン(鄭梨賢/정이현/JEONG Yi Hyun)

一九七二年、ソウル生まれ。誠信女子大学政治外交科、ソウル芸術大学文芸創作科卒業。
二〇〇二年、第一回「文学と社会」新人文学賞を受賞し、作家デビュー。
二〇〇四年、短編「他人の孤独」で李孝石文学賞、二〇〇六年、短編「三豊百貨店」で現代文学賞を受賞。
二〇〇六年、「朝鮮日報」連載の長編『マイ スウィート ソウル』が大ヒットしベストセラーとなり、ドラマ化される。
巧みなストーリー展開と卓越した観察眼で都市生活者たちの心の機微を描き、圧倒的な支持を集める現代韓国を代表する作家のひとり。
邦訳書に、『マイ スウィート ソウル』(清水由希子訳、講談社)、『優しい暴力の時代』(斎藤真理子訳、河出書房新社)。

橋本 智保(ハシモト・チホ)

一九七二年生まれ。東京外国語大学朝鮮語科を経て、ソウル大学国語国文学科修士課程修了。
訳書に、キム・ヨンス『夜は歌う』『ぼくは幽霊作家です』『七年の最後』(新泉社)、チョン・イヒョン『きみは知らない』(新泉社)、ソン・ホンギュ『イスラーム精肉店』(新泉社)、鄭智我『歳月』(新幹社)、李炳注『関釜連絡船(上・下)』(藤原書店)、朴婉緒『あの山は、本当にそこにあったのだろうか』(かんよう出版)、クォン・ヨソン『レモン』(河出書房新社)『春の宵』(書肆侃侃房)、チェ・ウンミ『第九の波』(書肆侃侃房)、ユン・ソンヒほか『私のおばあちゃんへ』(書肆侃侃房)、ハン・ジョンウォン『詩と散策』(書肆侃侃房)、ソン・ボミ『小さな町』(書肆侃侃房)、ウン・ヒギョン『鳥のおくりもの』(段々社)など。

関連書籍

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