極寒のシベリアに生きる

極寒のシベリアに生きる

トナカイと氷と先住民

  • 高倉 浩樹/編
  • 四六判上製
  • 272頁
  • 2500円+税
  • ISBN 978-4-7877-1112-0
  • 2012発行
  • [ 在庫あり ]
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書評・紹介

紹介文

「寒冷地の社会と暮らしにしのびよる地球温暖化。」

地球温暖化の影響を最も受けやすいといわれる北極圏。
その極北の地に人類はいつから進出し、厳しい自然環境の中を生き抜いてきたのだろうか。
寒冷環境に適応してきた人びとの歴史と文化、暮らしと社会の仕組みを見つめる。

歴史、民族、言語、宗教、生態学、気候学、交通までの最先端の研究成果を、文系・理系の第一線の研究者たちが、一般向けにわかりやすく概説したシベリア入門。

目次

序章  極寒のシベリアに生きる人々:シベリア理解への視角(高倉浩樹)
第1章 人類のシベリア進出:多様な生存・適応戦略(佐々木史郎)
第2章 トナカイ牧畜の歴史的展開と家畜化の起源(中田篤)
第3章 シベリアのロシア人(藤原潤子)
第4章 極北・高緯度の自然環境(檜山哲哉)
第5章 氷の民族誌:レナ川中流域サハ人の智恵と生業技術(高倉浩樹)
第6章 シベリアのトナカイ牧畜・飼育と開発・環境問題(吉田睦)
第7章 毛皮獣の利用をめぐる生態系保全と外来生物問題(池田透)
第8章 氷の上の道路交通(奥村誠)
第9章 先住民言語の多様な世界(永山ゆかり)
第10章 シャマニズムをめぐる神話と世界観(山田仁史)
終章  シベリアの温暖化と文化人類学(高倉浩樹)

コラム1  シベリアの諸民族(吉田睦)
コラム2  途絶環境化するシベリアの村:ソ連崩壊と温暖化(藤原潤子)
資料1  シベリアに暮らす諸民族一覧
資料2  シベリアをさらに学びたい人のための文献案内

【著者紹介】
高倉浩樹(たかくら・ひろき)
1968年生まれ.1998年、東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程単位取得退学(社会人類学博士、1999年).
現在、東北大学東北アジア研究センター准教授。社会人類学・シベリア民族誌専攻.
主要業績:『極北の牧畜民サハ─進化とミクロ適応をめぐるシベリア民族誌』(昭和堂、2012年),『社会主義の民族誌─シベリア・トナカイ飼育の風景』(東京都立大学出版会、2000年),『シベリアとアフリカの遊牧民─極北と砂漠で家畜とともに暮らす』(共著、東北大学出版会、2011年),『ポスト社会主義人類学の射程』(共編著、国立民族学博物館、2008年)など.

佐々木史郎(ささき・しろう)*第1章
国立民族学博物館教授.文化人類学,極東ロシア民族史専攻.
主要業績:『東アジアの民族的世界─境界地域における多文化的状況と相互認識』(共編著,有志舎、2011年),『東アジア内海世界の交流史─周辺地域における社会制度の形成』(共編著,人文書院,2008年)など.

中田 篤(なかだ・あつし)*第2章
北海道立北方民族博物館主任学芸員.専門は人と動物の関係学,北方人類学.
主要業績:『環北太平洋の環境と文化』(共著,北海道大学出版会,2006年),『開発と先住民』(共著,明石書店,2009年)など.

藤原潤子(ふじわら・じゅんこ)*第3章・コラム2
総合地球環境学研究所プロジェクト上級研究員.専門は文化人類学,ロシア研究.
主要業績:『呪われたナターシャ─現代ロシアにおける呪術の民族誌』(人文書院,2010年),「現代ロシアにおける宗教的求道と《歴史》の選択─カタコンベ正教会のネオ旧教徒たち」(『宗教と社会』第14号,2008年)など.

檜山哲哉(ひやま・てつや)*第4章
総合地球環境学研究所准教授.専門は生態水文学,水文気象学.
主要業績:『水の環境学─人との関わりから考える』(共編著,名古屋大学出版会,2011年),『新しい地球学─太陽-地球-生命圏相互作用系の変動学』(共編著,名古屋大学出版会,2008年)など.

吉田 睦(よしだ・あつし)*第6章・コラム1
千葉大学文学部教授.専門は文化人類学,食文化論,シベリア先住民研究.
主要業績:『開発と先住民』(共著,明石書店,2009年),『トナカイ牧畜民の食の文化・社会誌─西シベリア・ツンドラ・ネネツの生業と食の比較文化』(彩流社,2003年)など

池田 透(いけだ・とおる)*第7章
北海道大学大学院文学研究科地域システム科学講座教授.保全生態学,野生動物保護管理学(外来生物管理)専攻.
主要業績:『日本の外来哺乳類─管理戦略と生態系保全』(共編著,東京大学出版会,2011年),『外来生物が日本を襲う!』(監修,青春出版社,2007年)など.

奥村 誠(おくむら・まこと)*第8章 東北大学東北アジア研究センター教授.土木計画学,都市間交通計画専攻. 主要業績:『これからの都市・地域政策─「実験型都市」が未来を創る』(共著,中央経済社,2005年),『MPECにもとづく交通・地域政策分析』(共著,勁草書房,2003年)など.

永山ゆかり(ながやま・ゆかり)*第9章 北海道大学大学院文学研究科北方研究教育センター助教.専門は言語学(チュクチ・カムチャツカ諸語). 主要業績:『アリュートル語文法概説(露文)』(文部科学省科学研究費補助金特定領域研究「環太平洋の「消滅に瀕した言語」にかんする緊急調査研究」成果報告書A2-038,2003年)など.

山田仁史(やまだ・ひとし)*第10章 東北大学大学院文学研究科准教授.宗教民族学,神話学専攻. 主要業績:『ヒトと人のあいだ』(共著,岩波書店,2007年),フルトクランツ「シャマニズムの研究史」翻訳(『ポストコロニアル批評の諸相』東北大学出版会,2008年)など.

著者紹介

高倉 浩樹(タカクラ・ヒロキ)

1968年生まれ。
東北大学東北アジア研究センター教授。専門は社会人類学、シベリア民族誌。
著書に、『極北の牧畜民サハ——進化とミクロ適応をめぐるシベリア民族誌』(昭和堂、2012年)、『極寒のシベリアに生きる——トナカイと氷と先住民』(編著、新泉社、2012年)など。
震災関連の業績に、『聞き書き 震災体験——東北大学 90人が語る3.11』(東北大学震災体験記録プロジェクト編、高倉浩樹・木村敏明監修、新泉社、2012年)、『無形民俗文化財が被災するということ——東日本大震災と宮城県沿岸部地域社会の民俗誌』(高倉浩樹・滝澤克彦編、新泉社、2014年)、『震災後の地域文化と被災者の民俗誌——フィールド災害人文学の構築』(高倉浩樹・山口睦編、新泉社、2018年)、『災害ドキュメンタリー映画の扉——東日本大震災の記憶と記録の共有をめぐって』(是恒さくら・高倉浩樹編、新泉社、2021年)、『災害〈後〉を生きる——慰霊と回復の災害人文学』(李善姫・高倉浩樹編、新泉社、2023年)など。

関連書籍

  • 越境する宗教 モンゴルの福音派FTP
  • アイヌ、風の肖像FTP
  • 聞き書き 震災体験FTP
  • 無形民俗文化財が被災するということFTP
  • 震災後の地域文化と被災者の民俗誌FTP