極寒のシベリアに生きる
トナカイと氷と先住民
- 四六判上製
- 272頁
- 2500円+税
- ISBN 978-4-7877-1112-0
- 2012発行
- [ 在庫あり ]
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書評・紹介
- 小長谷有紀氏評「信濃毎日新聞」2012年6月3日
- 「北海道新聞」2012年7月8日
- 法政大学2021年度一般選抜入学試験問題
紹介文
「寒冷地の社会と暮らしにしのびよる地球温暖化。」
地球温暖化の影響を最も受けやすいといわれる北極圏。
その極北の地に人類はいつから進出し、厳しい自然環境の中を生き抜いてきたのだろうか。
寒冷環境に適応してきた人びとの歴史と文化、暮らしと社会の仕組みを見つめる。
歴史、民族、言語、宗教、生態学、気候学、交通までの最先端の研究成果を、文系・理系の第一線の研究者たちが、一般向けにわかりやすく概説したシベリア入門。
目次
序章 極寒のシベリアに生きる人々:シベリア理解への視角(高倉浩樹)
第1章 人類のシベリア進出:多様な生存・適応戦略(佐々木史郎)
第2章 トナカイ牧畜の歴史的展開と家畜化の起源(中田篤)
第3章 シベリアのロシア人(藤原潤子)
第4章 極北・高緯度の自然環境(檜山哲哉)
第5章 氷の民族誌:レナ川中流域サハ人の智恵と生業技術(高倉浩樹)
第6章 シベリアのトナカイ牧畜・飼育と開発・環境問題(吉田睦)
第7章 毛皮獣の利用をめぐる生態系保全と外来生物問題(池田透)
第8章 氷の上の道路交通(奥村誠)
第9章 先住民言語の多様な世界(永山ゆかり)
第10章 シャマニズムをめぐる神話と世界観(山田仁史)
終章 シベリアの温暖化と文化人類学(高倉浩樹)
コラム1 シベリアの諸民族(吉田睦)
コラム2 途絶環境化するシベリアの村:ソ連崩壊と温暖化(藤原潤子)
資料1 シベリアに暮らす諸民族一覧
資料2 シベリアをさらに学びたい人のための文献案内
【著者紹介】
高倉浩樹(たかくら・ひろき)
1968年生まれ.1998年、東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程単位取得退学(社会人類学博士、1999年).
現在、東北大学東北アジア研究センター准教授。社会人類学・シベリア民族誌専攻.
主要業績:『極北の牧畜民サハ─進化とミクロ適応をめぐるシベリア民族誌』(昭和堂、2012年),『社会主義の民族誌─シベリア・トナカイ飼育の風景』(東京都立大学出版会、2000年),『シベリアとアフリカの遊牧民─極北と砂漠で家畜とともに暮らす』(共著、東北大学出版会、2011年),『ポスト社会主義人類学の射程』(共編著、国立民族学博物館、2008年)など.
佐々木史郎(ささき・しろう)*第1章
国立民族学博物館教授.文化人類学,極東ロシア民族史専攻.
主要業績:『東アジアの民族的世界─境界地域における多文化的状況と相互認識』(共編著,有志舎、2011年),『東アジア内海世界の交流史─周辺地域における社会制度の形成』(共編著,人文書院,2008年)など.
中田 篤(なかだ・あつし)*第2章
北海道立北方民族博物館主任学芸員.専門は人と動物の関係学,北方人類学.
主要業績:『環北太平洋の環境と文化』(共著,北海道大学出版会,2006年),『開発と先住民』(共著,明石書店,2009年)など.
藤原潤子(ふじわら・じゅんこ)*第3章・コラム2
総合地球環境学研究所プロジェクト上級研究員.専門は文化人類学,ロシア研究.
主要業績:『呪われたナターシャ─現代ロシアにおける呪術の民族誌』(人文書院,2010年),「現代ロシアにおける宗教的求道と《歴史》の選択─カタコンベ正教会のネオ旧教徒たち」(『宗教と社会』第14号,2008年)など.
檜山哲哉(ひやま・てつや)*第4章
総合地球環境学研究所准教授.専門は生態水文学,水文気象学.
主要業績:『水の環境学─人との関わりから考える』(共編著,名古屋大学出版会,2011年),『新しい地球学─太陽-地球-生命圏相互作用系の変動学』(共編著,名古屋大学出版会,2008年)など.
吉田 睦(よしだ・あつし)*第6章・コラム1
千葉大学文学部教授.専門は文化人類学,食文化論,シベリア先住民研究.
主要業績:『開発と先住民』(共著,明石書店,2009年),『トナカイ牧畜民の食の文化・社会誌─西シベリア・ツンドラ・ネネツの生業と食の比較文化』(彩流社,2003年)など
池田 透(いけだ・とおる)*第7章
北海道大学大学院文学研究科地域システム科学講座教授.保全生態学,野生動物保護管理学(外来生物管理)専攻.
主要業績:『日本の外来哺乳類─管理戦略と生態系保全』(共編著,東京大学出版会,2011年),『外来生物が日本を襲う!』(監修,青春出版社,2007年)など.
奥村 誠(おくむら・まこと)*第8章 東北大学東北アジア研究センター教授.土木計画学,都市間交通計画専攻. 主要業績:『これからの都市・地域政策─「実験型都市」が未来を創る』(共著,中央経済社,2005年),『MPECにもとづく交通・地域政策分析』(共著,勁草書房,2003年)など.
永山ゆかり(ながやま・ゆかり)*第9章 北海道大学大学院文学研究科北方研究教育センター助教.専門は言語学(チュクチ・カムチャツカ諸語). 主要業績:『アリュートル語文法概説(露文)』(文部科学省科学研究費補助金特定領域研究「環太平洋の「消滅に瀕した言語」にかんする緊急調査研究」成果報告書A2-038,2003年)など.
山田仁史(やまだ・ひとし)*第10章 東北大学大学院文学研究科准教授.宗教民族学,神話学専攻. 主要業績:『ヒトと人のあいだ』(共著,岩波書店,2007年),フルトクランツ「シャマニズムの研究史」翻訳(『ポストコロニアル批評の諸相』東北大学出版会,2008年)など.