自立の呪縛

自立の呪縛

ホームレス支援の社会学

  • 渡辺 芳/著
  • 四六判上製
  • 416頁
  • 3800円+税
  • ISBN 978-4-7877-1002-4
  • 2010発行
  • [ 在庫あり ]
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紹介文

ホームレスの増加と可視化が日本の社会問題となり、行政による就労自立施策が進められるなかで、問題解決の担い手であり、問題の定義者であると考えられるホームレス当事者、ボランティア、地域住民の三者に関する検討を通して、ホームレスをめぐる支援関係を社会学的に考察する。

目次

序章 ホームレス問題とホームレス支援

第1章 問題の所在―― ホームレス問題の社会的構築
 第1節 なぜ、今ホームレスを考えるか
 第2節 ホームレスを問う視座――「調査者」の視点と「支援者」の目線
 第3節 ホームレス支援策を捉えるフレームに関する検討
 第4節 ホームレスをめぐる行政支援―― 山谷対策からホームレス対策へ

第2章 ホームレスをめぐる社会状況―― 個人化と社会的排除
 第1節 ポスト近代における社会変動としての個人化
 第2節 社会的排除とホームレス型貧困
 第3節 ポスト福祉国家的課題としてのホームレス支援
 第4節 ホームレス研究の概要―― 先行研究の四つの潮流

第3章 ホームレスの類型化に関する検討
 第1節 ホームレスの統計調査による把握
 第2節 ホームレスの呼称をめぐる変遷
 第3節 ホームレス類型に関する検討
 第4節 生活歴からみるホームレスの分類

第4章 支援当事者としてのホームレス―― インタビュー調査の結果から
 第1節 ホームレス支援活動における当事者の位置
 第2節 ホームレス化とその直接要因
 第3節 ホームレスの始まりと終わり
 第4節 ホームレス当事者が関わるボランティア活動
 第5節 ホームレスをめぐる社会関係
 第6節 ホームレスの自己表象
 第7節 ホームレス当事者の位置と意味

第5章 ホームレス支援をめぐる医療・福祉ボランティアの意識と実践――インタビュー調査・参与観察の結果から
 第1節 宗教団体によるホームレス支援の取り組み
 第2節 教会によるボランティア活動
 第3節 宗教系ボランティア団体におけるミッションの解釈過程
 第4節 ホームレス支援をめぐる医療・福祉ボランティアの意識と実践

第6章 ホームレスと地域―― 調査の結果から
 第1節 問題の所在―― 域住民のホームレス施策の支持/不支持
 第2節 調査設計と仮説―― 基づく分析モデル
 第3節 東京都のホームレス施策に対する地域住民の支持
 第4節 地域住民の基本属性と行動・意識
 第5節 ホームレス施策を支持するのは誰か?

終章 ホームレス支援における三つのアクター

著者紹介

渡辺 芳(ワタナベ・カオル)

1997年、東洋大学大学院社会学研究科博士前期課程修了。2007年、東洋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。
現在、東洋大学人間科学総合研究所奨励研究員。2010年度より東洋大学ほか非常勤講師。研究調査活動に並行して神奈川県川崎市でホームレス支援に関わる。
主要論文 「宗教系ボランティア団体におけるミッションの解釈過程――山谷地域におけるキリスト教ボランティア団体を事例として」(『日本ボランティア学会 2002年度学会誌』2003年)、「ホームレス/野宿者をめぐる行政支援――『山谷対策』から『ホームレス対策』へ」(『東洋大学大学院紀要』第45集、2008年)、「誰がホームレス施策を支持するのか――東京都台東区・荒川区の住民意識調査から」(園田恭一・西村昌記編著『ソーシャル・インクルージョンの社会福祉――新しい〈つながり〉を求めて』ミネルヴァ書房、2008年)

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