貧困の基本形態

貧困の基本形態

社会的紐帯の社会学

  • セルジュ・ポーガム/著
  • 川野 英二/訳
  • 中條 健志/訳
  • 四六判上製
  • 416頁
  • 3500円+税
  • ISBN 978-4-7877-1511-1
  • 2016.03.31発行
  • [ 在庫あり ]
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書評・紹介

紹介文

《社会的紐帯の喪失から再生へ》

〈不安定(プレカリテ)〉と〈排除〉に襲われ、ますます多くの人びとが貧困層への降格におそれを抱く社会。
〈降格する貧困〉に陥るかもしれない運命にある人びとの苦難を取り除くために。
ロベール・カステルとともに、フランスを代表する社会学者の主著。貧困・格差・社会的排除研究の基本書。

目次

序章 貧困の社会学的分析

第1章 貧困の社会学の誕生
[1] 大衆的貧困にたいするトクヴィルとマルクスの立場
[2] ジンメルの決定的貢献

第2章 貧困と社会的関係
[1] 扶助された貧困とその偏差
[2] 貧困への社会的な関係の基盤
[3] 説明要因
[4] 類 型:〈統合された貧困〉〈マージナルな貧困〉〈降格する貧困〉

第3章 統合された貧困
[1] 常態的・再生産的な状態
[2] 家 族:生存という問題
[3] インフォーマル経済と恩顧主義

第4章 マージナルな貧困
[1] ほとんど眼に見えなくなった貧困
[2] 表象の安定
[3] スティグマ化のリスク

第5章 降格する貧困
[1] 社会的不安定の回帰
[2] 空間的降格の新たな形態
[3] 失業の経験と社会的孤立
[4] 不確かな対応策

終章 貧困の科学と意識

補論 欧州人は貧困をどのように見ているのか

日本語版に寄せて
訳者解題

著者紹介

セルジュ・ポーガム(Serge Paugam)

1960年、フィニステール県レスネヴァン生まれ。1988年、フランス国立社会科学高等研究院(EHESS)博士課程修了。
現在、フランス国立社会科学高等研究院(EHESS)教授、モーリス・アルブヴァクス・センター(CMH)社会的不平等研究チーム(ERIS)研究ディレクター。専門は、不平等と社会的断絶の社会学。
ドミニク・シュナペールの指導のもと、出身のブルターニュ地方の貧困地域で調査を実施した博士論文『社会的降格』は、国立科学研究センター銅賞を受賞し、1991年に公刊。その後、『フランス社会と貧困層――参入最低所得の経験』(1993)で参入最低所得(RMI)受給者を対象とした全国調査、『福祉レジームとヨーロッパにおける失業経験』(2000)などで欧州国際比較調査を実施し、貧困・社会的排除研究の第一人者として国際的に知られる。 フランスでは国内を代表する社会科学者を集めた会議をもとに公刊した『連帯を再考する』(2008)や、『社会学の実践』(2008)および『社会学的調査』(2010)など社会調査方法論の著作もある。
フランス大学出版会(PUF)の「社会的紐帯」叢書で社会科学の古典を復刊、雑誌『社会学』を創刊するなど、多方面で活躍している現代フランス社会学を代表する一人である。

川野 英二(カワノ・エイジ)

1968年、北海道生まれ。2000年、大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。博士(人間科学)。大阪大学助手、フランス国立社会科学高等研究院(EHESS)モーリス・アルブヴァクス・センター(CMH)研究員、京都大学特定助教をへて、大阪市立大学文学研究科准教授。専門は、都市・社会政策の社会学。

中條 健志(チュウジョウ・タケシ)

1983年、長野県生まれ。2010年、大阪市立大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(文学)。専門は仏語圏の移民研究。

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