かつて青色1グラムは金1グラムと同じ価値だった
13歳からの考古学
なんで人は青を作ったの?
青色の歴史を探る旅
- 四六判
- 280頁
- 2200円+税
- ISBN 978-4-7877-2417-5
- 2025.01.17発行
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紹介文
運動が苦手で人見知りの蒼太郎と運動神経がよくてお調子者の律。対称的なふたりの中学1年生男子が、化学者の森井老人の指導のもと、人類がどうやって「青色」を手にしたのかを証明する壮大な実験に挑戦する。顔料に使えるような青色の石(鉱物)は自然にはほとんど存在しないため、古代から人類は様々な工夫をして「青」を作ってきた。銅やお酢、ウシの血など、簡単に手に入る材料から高価な青を作りだした、人類のあくなき探究の旅にあなたも同行しませんか?
目次
おもな登場人物
プロローグ
第1章 ヴェルディグリとオドントライト
実験のスタートはヴェルディグリ/できあがりは茶色になる?/最古の人工青色? オドントライト/緊張の連続の実験
第2章 ラピスラズリとウルトラマリンブルー
中央美術館でウルトラマリンブルーとであう/きれいな青ができた!/日本にウルトラマリンブルーはなかった?
第3章 スマルトとフォルスブルー
コバルトからスマルトを作る/偽物の青色を作る/きれいなコバルトガラスができあがる
第4章 エジプシャンブルー
人類がはじめて作り出した合成の青/作るのはガラスじゃない?/エジプシャンブルーはキラキラ光っていた?
第5章 骨董店と科学倶楽部
摩訶不思議な森井老人の骨董店/久しぶりの科学倶楽部/バクテリアから赤い顔料ができた
第6章 マヤブルー
植物から作られたマヤブルー/強烈なにおいの青い液体/くさい液体からマヤブルーができた!
第7章 プルシアンブルー
ベルリンで作られた青/ベロ藍作りに挑戦/実験に失敗するって、悔しいぞ!/時間をかけてできたヴェルディグリ
第8章 埴輪
古代の日本で使われていた青は?/古文書の「青」を探しに茨城へ/〈あおに〉を発見?/青緑に見える山肌がある/インスタントカメラで記念撮影/伝説の紺色〈あおに〉
第9章 中世の青色の話
錬金術を調べに中央美術館へ/青色も錬金術で作った?/本物のレシピで再現に成功/ぼくたちが名前をつけていいの?
第10章 旅立ち
サイコーだった青の実験/企画展に展示される⁉/律がいなくなる/2年後に届いた招待状/はじめてのレセプション参加/展示されたぼくたちの青の実験 その1/展示されたぼくたちの青の実験 その2/レセプションで注目をあびる
エピローグ
あとがき
おもな参考文献
謝辞
出版社からのコメント
大好評の「13歳からの考古学」シリーズ、第5弾は青色の歴史を探る旅です。
かつて、ラピスラズリという鉱物から作られる天然のウルトラマリンブルー1グラムは、金1グラムと同じ価値でした。それほどに貴重だった青色を求めて、人類はさまざまな技法を編み出しました。人類最古の合成の青色エジプシャンブルー、インディゴ染料で作られたマヤブルー、捨てられる物から作られたプルシアンブルー……。蒼太郎と律は、青色の再現実験を通して、「青」の魅力にハマってしまいます。
中世ヨーロッパでは、錬金術師も青を求めて様々な実験を繰り返したようですし、青色の天然鉱物が手に入らなかった古墳時代の日本では、鉄分の多い粘土を使って青や緑を作っていました。それほどに人類は「青色」を求めていたのです。
著者の谷口陽子さんと髙橋香里さんは、文化遺産の保存・修復の専門家で、エジプトやバーミヤン、カッパドキアをはじめとする多くの遺跡の修復に携わっています。
読者の皆さんも蒼太郎と律の青色を巡る旅を通して、オタク度満載の保存科学・考古科学の奥深さに触れてみてください。