核廃棄物と熟議民主主義
倫理的政策分析の可能性
- 四六判上製
- 304頁
- 2800円+税
- ISBN 978-4-7877-1108-3
- 2011発行
- [ 在庫あり ]
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紹介文
原発の稼働とともに増えつづける使用済み核燃料。その処理という現代社会が抱える難問にどうとり組むのか。原発推進国カナダにおける「国民協議」を検証する。
エネルギー政策とりわけ原発政策の根本的見直しのためには、広範な国民が関与するかたちでの原子力についての徹底的で継続的な話し合いが必要である。そのような日本の状況にとって、熟議民主主義的な討議のくり返しによって、核廃棄物問題に対処しようとしてきたカナダの経験と、熟議民主主義の原理の積極的可能性を明らかにしている本書の考察は、豊富な教示に富むものである。――監訳者あとがき
目次
日本語版序文
第1章 核廃棄物問題と本書の視点
第2章 倫理的政策分析とその重要性
リスク、不確実性、および将来の状況
実証主義と非実証主義による批判の台頭
正義と正統性の倫理的優位性
第3章 カナダの核燃料廃棄物管理政策──二つの陣営間の論争
エイキン報告とシーボーン委員会
政府の回答、政策の枠組み、核燃料廃棄物法
核廃棄物管理機構(NWMO)の国民協議プロセス
第4章 核廃棄物管理政策で問われた倫理的諸問題
将来世代
安全性とリスク
負担と受益
包摂とエンパワメント
説明責任と監視
倫理的政策分析の諸基準
第5章 三つの倫理学理論と核廃棄物問題
福祉功利主義
現代義務論
熟議民主主義
第6章 熟議民主主義による政策分析の可能性と問題点
核廃棄物管理機構による国民協議過程の評価
カナダの核廃棄物管理問題から得られる教訓
結論
監訳者あとがき