朱に魅せられた弥生人 若杉山辰砂採掘遺跡

シリーズ「遺跡を学ぶ」162

朱に魅せられた弥生人 若杉山辰砂採掘遺跡

  • 西本 和哉/著
  • A5判
  • 96頁
  • 1700円+税
  • ISBN 978-4-7877-2332-1
  • 2023.04.10発行
  • [ 在庫あり ]

書評・紹介

紹介文

土器を赤く塗り、棺に朱を敷きつめ、魏志倭人伝に「朱丹を以てその身体に塗る」と記された弥生人。その朱の原料、辰砂を採掘していた痕跡が徳島県阿南市ではじめてみつかった。山中の発掘調査から、鉱脈を追いかけ岩盤を切り崩す採掘の実態を明らかにする。

目次

第1章 弥生人が求めた朱
1 辰砂採掘遺跡とは
2 弥生の赤
3 赤色に込められた思い
4 「魏志倭人伝」に記された赤

第2章 辰砂採掘遺跡の探究
1 採掘場への道のり
2 辰砂採掘遺跡の発見
3 地下資源の宝庫・阿南
4 みえてきた辰砂採掘の様子

第3章 採掘の実態解明へ
1 ズリ場と鉱脈の発見
2 みえてきた露天採掘の実態
3 採掘坑による方法もあった
4 出土品からみた採掘の実態
5 採掘していたのは誰だ

第4章 朱の生産にせまる
1 辰砂はどこへ
2 朱をつくる弥生人
3 朱塗り工房の風景

第5章 若杉山辰砂採掘遺跡のこれから

参考文献

出版社からのコメント

山中をくまなく歩きまわり、自然の堆積とは思われない瓦礫(採掘の痕跡)を探究した著者たちが、弥生人の営為をよみがえらせます。

著者紹介

西本 和哉(ニシモト・カズヤ)

1982年、兵庫県姫路市生まれ。
奈良大学文化財史料学博士後期課程単位取得退学。
2009年、徳島県教育委員会入庁。現在、公益財団法人徳島県埋蔵文化財センター主任研究員。
主な著作 「弥生時代における赤色顔料の生産と流通」『徳島発展の歴史的基盤─「地力」と地域社会─』(雄山閣、2018年)、「伊都国にみる水銀朱の入手と使用」『古墳と国家形成期の諸問題』(白石太一郎先生傘寿記念論文集編集委員会、山川出版社、2019年)、「弥生時代の赤色塗料調合具」『古代文化』73-3(公益財団法人古代学協会、2021年)、「弥生・古墳時代の墳墓に持ち込まれた朱の生産具」『考古学研究会』69-3(考古学研究会、2022年)ほか。

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