なぜ公害は続くのか

公害を生み続ける社会をどう変えていくか

シリーズ 環境社会学講座 1

なぜ公害は続くのか

潜在・散在・長期化する被害

  • 藤川 賢/編
  • 友澤 悠季/編
  • 四六判
  • 320頁
  • 2500円+税
  • ISBN 978-4-7877-2301-7
  • 2023.04.10発行
  • [ 在庫あり ]

書評・紹介

紹介文

公害は「過去」のものではない。
問題を引き起こす構造は社会に根深く横たわり、差別と無関心が被害を見えなくしている。
公害の歴史と経験に学び、被害の声に耳を澄まし、犠牲の偏在が進む現代の課題を考える。
公害を生み続ける社会をどう変えていくか——。

〈公害の歴史が教えるのは、見えていたはずのものが不可視化されていく過程である。その背後には、環境侵害の影響を背負わされるのが社会的に弱い立場の人びとに偏るという、公害の最初期から続く社会構造もある。
公害の「解決」を強調する動きが、実は公害発生の経緯を引きずるものであり、現在の環境問題にも影響を与えているのであれば、不可視化の仕組みに注意し、それに対抗する方法を考える必要がある。——編者〉

【執筆者】関 礼子/宇田和子/金沢謙太郎/竹峰誠一郎/原口弥生/土屋雄一郎/野澤淳史/清水万由子/寺田良一/堀畑まなみ/堀田恭子/林 美帆

ブックデザイン:藤田美咲

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目次

序章 公害はなぜ続くのか——不可視化される被害と加害……藤川 賢・友澤悠季

I 公害とは何か——被害拡大の構図と教訓
第1章 足尾銅山鉱煙毒事件にみる公害の原型……友澤悠季
第2章 自然と生活を軽視する論理に抗う——新潟水俣病にみる公害被害の現在……関 礼子
第3章 公害対策の進展後における地域環境汚染——日米の産業廃棄物問題と草の根環境運動……藤川 賢
コラムA 複合公害としてのアスベスト問題……堀畑まなみ

II 環境的不公正の潜在と拡大——長期化・グローバル化する被害
第4章 食品公害問題の長期化——なぜカネミ油症被害者は被害を訴え続けなければならないのか……宇田和子
第5章 熱帯材と日本人——足下に熱帯雨林を踏み続けて……金沢謙太郎
第6章 重層化する核被害のなかで——マーシャル諸島発「核の正義」を求めて……竹峰誠一郎
第7章 環境正義運動は何を問いかけ、何を変えてきたのか……原口弥生
コラムB 新しい環境リスク——環境過敏症という名の「公害」……堀田恭子

III 公害は終わっていない——新たな課題と経験の継承
第8章 NIMBYと「公共性」——産業廃棄物処理施設をめぐる公共関与と合意形成……土屋雄一郎
第9章 水俣病にとっての六五歳問題——「先天性(胎児性)という問い」から……野澤淳史
第10章 「記憶」の時代における公害経験継承と歴史実践……清水万由子
第11章 環境リスク社会における公正と連携への道……寺田良一
コラムC 公害地域再生が目指すもの……林 美帆

終章 不可視化に抗うために——公害を生み続ける社会をどう変えていくか……藤川 賢・友澤悠季

出版社からのコメント

「シリーズ 環境社会学講座」全6巻、2023年4月刊行開始!
詳細は下記URLをご覧ください。
https://www.shinsensha.com/news/5554/

著者紹介

藤川 賢(フジカワ・ケン)

明治学院大学社会学部教授。
主要業績:『ふくしま復興 農と暮らしの復権』(共編著、東信堂、2021年)、『公害・環境問題の放置構造と解決過程』(共著、東信堂、2017年)、『公害被害放置の社会学——イタイイタイ病・カドミウム問題の歴史と現在』(共著、東信堂、2007年)など。

友澤 悠季(トモザワ・ユウキ)

長崎大学環境科学部准教授。
主著:『「問い」としての公害――環境社会学者・飯島伸子の思索』(勁草書房、2014年)
編著:『宇井純セレクション』全3巻(藤林泰・宮内泰介・友澤悠季編、新泉社、2014年)、『宇井純著作目録』(埼玉大学共生社会研究センター監修『宇井純収集公害問題資料2 復刻『公害原論』第2回配本 別冊資料』すいれん舎、2007年)

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