デリダ、ルーマン後の正義論

デリダ、ルーマン後の正義論

正義は〈不〉可能か

  • グンター・トイプナー/編著
  • 土方 透/監訳
  • A5判上製
  • 320頁
  • 3800円+税
  • ISBN 978-4-7877-1405-3
  • 2014発行
  • [ 在庫あり ]
  • 書店サイトへ

紹介文

正義とは何か? 正義はどう語りうるのか?
脱構築の正義(デリダ)、偶発性定式としての正義(ルーマン)、両者の遺した学問的成果から、われわれはつぎに何を語れるのだろうか。社会において正義を可能にするもろもろの道具立てを描出し、正義の社会理論の〈不〉可能性を問う。

目次

巻頭言 デリダとルーマンの遺産(グンター・トイプナー)

〈正義の実定性〉
第1章 自己破壊的正義──法の偶発性定式あるいは超越形式 (グンター・トイプナー)
第2章 犠牲者はどれほど濃密なのか──今日の社会における超越の場所に関する問題を解決するために(ジャン・クラム)
第3章 正義の論調について──オートポイエティックな法律学において近時高まるところの(アントン・シュッツ)

〈法の主観性と主観的法〉
第4章 権利──形式のパラドクスによせて(クリストフ・メンケ)
第5章 権利と、権利に寄生する正義願望 (カール=ハインツ・ラデーア)

〈法、政治、レトリック〉
第6章 法の生成──起源のパラドクスと代補(マルク・アムシュトゥッツ)
第7章 謝罪をめぐる世界劇場──法と赦し、記憶の関係について(ファティマ・カストナー)

〈法の迷い〉
法律(ライナー・マリア・キーゾウ)

監訳者あとがき 正義の社会理論は〈不〉可能か? (土方 透)

著者紹介

グンター・トイプナー(Gunther Teubner)

1944年生まれ。現代ドイツを代表する法社会学者、私法学者。ブレーメン大学、ヨーロッパ大学(フィレンツェ、イタリア)、 ロンドン大学(Otto Kahn Freund Professor, LSE)、フランクフルト大学教授等を経て、現在、トリノ国際大学教授。イタリア、オランダ、スイス、カナダ、米国、中国他でも研究・教育を展開し、世界各国から名誉博士号を贈られる。John Diefenbaker賞、Gay-Lussac Humboldt賞など受賞。
邦訳書 『オートポイエシス・システムとしての法』(土方透、野崎和義訳、未來社、1994年)、『グローバル化と法』(ハンス・ペーター・マルチュケ、村上淳一訳、信山社、2006年)、『システム複合時代の法』(瀬川信久編、信山社、2012年)、〔編著〕『ルーマン 法と正義のパラドクス─12頭目のラクダの返還をめぐって 』(土方透監訳、ミネルヴァ書房、2006年)、『結果志向の法思考──利益衡量と法律家的論証』(村上淳一・小川浩三訳、東京大学出版会、2011年)ほか

土方 透(ヒジカタ・トオル)

1956年生まれ。中央大学法学部法律学科卒、同大学院文学研究科社会学専攻修了。現在、聖学院大学政治経済学部教授。ハノーファー哲学研究所、ヴュルツブルク大学客員教授など歴任。社会学博士。
著書 Das positives Recht als soziales Phanomen, Berlin, 2013(Duncker & Humblot)、『法という現象─実定法の社会学的解明』(ミネルヴァ書房、2007年)、〔編著〕Riskante Strategien: Beitrage zur Soziologie des Risikos,(Hrsg. mit Armin)Springer Verlag, 1997.、『ルーマン─来るべき知』 (勁草書房、1990年)、『リスク─制御のパラドクス』(アルミン・ナセヒと共編、新泉社、2002年)、『宗教システム/政治システム─正統性のパラドクス』(新泉社、2004年)、『現代社会におけるポスト合理性の問題─マックス・ヴェーバーの遺したもの』(聖学院大学出版会、2012年)ほか