プロテスト

プロテスト

システム理論と社会運動

  • ニクラス・ルーマン/著
  • カイ‐ウーヴェ・ヘルマン/編
  • 徳安 彰/訳
  • A5判
  • 272頁
  • 2800円+税
  • ISBN 978-4-7877-1306-3
  • 2013発行
  • [ 絶版 ]
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紹介文

社会の内部で社会の外部からのように、社会のために社会に抗して、社会を観察する──それがプロテストである。
社会運動にかかわるルーマンの諸論考を収録。社会システム理論からプロテストを読み解き、その意味と限界を追究する。

「機能分化が進展し、中心も頂点もない現代社会において、社会全体を俯瞰する特権的な立場はありえない、というのがルーマンの基本テーゼである。それにもかかわらず社会全体の自己記述に挑戦する点で、プロテスト運動としての社会運動には新しい理論展開の可能性があると同時に、現実の社会運動は理論武装が欠けており、しばしば独善的な主張に終わってしまう。だとすると、そういう社会運動の位置づけまで含めた社会の全体像を記述しようとするルーマン自身の理論は、はたして社会の中でどのような位置にあるのか。」(「訳者あとがき」より)

目次

序論  カイ-ウーヴェ・ヘルマン

近代社会はエコロジー的な危機に対処できるか

〈インタビュー〉トロイの木馬

オルタナティブなきオルタナティブ──「新しい社会運動」のパラドックス

近代社会の自己記述におけるトートロジーとパラドックス

女性、男性、ジョージ・スペンサー・ブラウン

参加と対峙──西ドイツへの追悼文の提案

環境リスクと政治

〈インタビュー〉システム理論とプロテスト運動

プロテスト運動

著者紹介

ニクラス・ルーマン(Niklas Luhmann)

1927-98年20世紀を代表する社会学者の一人。もっとも重要な功績は、新たなシステム理論を社会学理論に結びつけ、ひとつの社会理論を発展させたことにある。フライブルク大学で法律を学んだ後、ニーダーザクセン州の行政官として勤務。タルコット・パーソンズの社会学に徹底的に取り組むためハーバード大学へ留学。その後、ミュンスター大学で博士号、教授資格を1年で取得。1969年、新設されたビーレフェルト大学に教授として就任。1993年に定年退官。

カイ‐ウーヴェ・ヘルマン(Kai-Uwe Hellmann)

1962年―ベルリン工科大学講師。ヘルムート・シュミット大学講師。
専門は消費社会学、政治社会学、社会システム論
主の著書 『消費の方向性』、『ブランドの社会学』、『システム理論と新しい社会運動』ほか。

徳安 彰(トクヤス・アキラ)

法政大学社会学部教授。主な著書 『社会変動と社会学』(共著、ミネルヴァ書房)、『理論社会学の可能性』(共著、新曜社)、『パーソンズ・ルネッサンスへの招待』(共編著、勁草書房)ほか。
主な訳書 N・ルーマン『社会構造とゼマンティク〈1〉』『社会の科学〈1〉〈2〉』(ともに法政大学出版局)、N・ルーマン『社会理論入門』『システム理論入門』(ともに共訳、新泉社)、T・パーソンズ『宗教の社会学』(共訳、勁草書房)ほか。