
詩人が未来に伝える「新しい自然神話」
アニミズムという希望 〔新装〕
講演録 琉球大学の五日間
- 四六判
- 416頁
- 2000円+税
- ISBN 978-4-7877-2182-2
- 2021.04.14発行
- [ 在庫あり ]
- 野草社/発行
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書評・紹介
紹介文
今やっと、三省さんの時代が来た。三省さんがかつて語った言葉に真摯に耳を傾け、それをひとりひとりが実行する時代になった。そう心から思う。
——山極寿一「詩人・山尾三省さんが予言したこと」
1999年夏、屋久島の森に住む詩人・山尾三省が琉球大学で集中講義を行った。「土というカミ」「水というカミ」……、詩人の言葉によって再び生命を与えられた新しいアニミズムは、自然から離れてしまった私達が時代を切りひらいてゆく思想である。
2000年に刊行されたロングセラーの講義録の新装版。元京都大学総長の霊長類学者・人類学者、山極寿一の解説を付す。
出版社からのコメント
近年、環境活動家グレタ・トゥーンベリさんの発言や、「人新世(アントロポセン)」という考え方が注目され、若い世代を中心に環境問題への関心があらためて高まっています。文明社会が地質や生態に重大な影響を与えたことを一因とする、台風・洪水・猛暑・森林火災などの自然災害が世界各地で発生。こうした深刻な気候変動や、新型コロナウイルス禍などの苦境に直面する中で、森羅万象の内に精霊、霊魂が宿るとする「アニミズム」の思想の見直しがはじまっています。
「新しい自分を見つけることが、新しい時代をつくることにまっすぐつながっている」と詩人である著者は言います。屋久島での自然生活から得たさまざまな体験と、古今東西の文学や思想、人文社会科学の知見をつなぎあわせながら進む語りの中で明らかにされるのは、文明の危機に向き合うひとりの人間が、「アニミズム」の思想を手掛かりにみずからが信じる世界観を創造していく過程です。巻末に掲載した「講義で紹介された本や作品」のリストも参考にして、それぞれの関心に沿って学びを深めてほしいと思います。