古墳時代のモノと墓

古墳時代のモノと墓

  • 秋山 浩三/著
  • B5判上製
  • 348頁
  • 10000円+税
  • ISBN 978-4-7877-1815-0
  • 2018.08.31発行
  • [ 在庫あり ]
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紹介文

主に関西・大阪をフィールドに弥生時代・古墳時代の発掘調査と研究を進めてきた著者がこれまで公表してきた古墳時代にかかわる考察を収載した。山城地域に所在する古墳時代後期の前方後円墳、物集女車塚古墳の詳細な調査研究の成果、大阪府の北・中河内地域の古墳編年および首長墳系譜の整理やその特質の提示、生駒山西麓中部に分布する群集墳である花草山古墳群・五里山古墳群の形成過程や群構成の評価に関する再考など。

目次

第1章 古墳を発掘する 向日市・物集女車塚古墳 ―後期古墳の例   1―不気味な写真
2―カメラが見た石室内部
3―内部主体の発掘
4―墳丘の調査──いびつな前方後円墳
5―報告書作成と整備計画
6―おわりに
7―コラム:物集女車塚と杉の木
8―「物集女車塚古墳研究会」の開催記録

第2章 特異な組合式家形石棺とその系譜
1―はじめに
2―特異な組合式家形石棺の属性
3―物集女車塚石棺の特質と系譜上の位置
4―京都府南部における物集女車塚石棺の位置
5―おわりに

第3章 古墳副葬須恵器の産地推定一例
──集女車塚・井ノ内稲荷塚における微細特徴からの追究
1―後期前方後円墳に副葬された高杯のクセ
2―陶邑窯跡群と千里窯跡群、そして陶邑周辺部の窯跡
3―生産地はどちらか
4―微細観察の有効性──結びにかえて

第4章 物集女車塚の須恵器産地推定・補遺
1―乙訓の後期前方後円墳に副葬された高杯のクセと生産地
2―杯・杯蓋ほかの内面にほどこされた最終調整の相違
3―装飾付須恵器・人物小像の属性
4―口縁端部に刻目状調整をもつ杯蓋例の増加
5―結びにかえて

第5章 「物集女ノ群集墳」の再評価
1―はじめに
2―「物集女ノ群集墳」の諸記録
3―採集地点と遺物の概要
4―若干の検討(1) 装飾付須恵器と結晶片岩類
5―若干の検討(2) 「物集女ノ群集墳」の現状把握と再評価
6―おわりに

第6章 前方後円墳集成 地域の概要 河内
1―はじめに
2―北・中河内
3―古市古墳群
4―南河内

第7章 北・中河内の古墳編年と首長墳系列
1―はじめに
2―各地域における首長墳の編年と系列
3―首長墳系列の特質
4―おわりに

第8章 北・中河内の前期古墳にみる特質
1―フォーラム講演項目ほか
2―はじめに
3―古墳の分布状況
4―各地域における前期古墳の状況
5―北・中河内にみる前期古墳の特質
6―おわりに
7―「質疑・討論」での補足説明──楽音寺・大竹古墳群の成立基盤集落

第9章 埋没横穴式石室墳・七ツ門古墳の位置づけ
1―はじめに──沖積低地で新発見された横穴式石室墳
2―七ツ門古墳の特異性
3―築造年代の検討
4―周辺の古墳との関係
5―まとめと課題

第10章 生駒山西麓中部の群集墳形成過程・構成をめぐって──花草山古墳群・五里山古墳群と採集資料の検討
1―はじめに
2―五里山古墳群・花草山古墳群の位置と環境
3―両古墳群および近接古墳群の実態再整理
4―新紹介の採集資料
5―各古墳群の再整理と採集資料が提示するもの
6―おわりに

第11章 池上曽根遺跡の初期須恵器と断想
1―はじめに
2―初期須恵器の検出状況
3―初期須恵器の概要
4―池上曽根遺跡における須恵器出土地点からうかがえる動態
5―若干の雑感
6―おわりに

第12章 近畿における吉備型甕の分布とその評価
1―ことの発端
2―近畿における吉備型甕の発見・研究抄史
3―近畿各地域出土の吉備型甕の集成と概観
4―近畿における吉備型甕の分布傾向と特質
5―吉備型甕搬入の評価をめぐって

出版社からのコメント

京都府向日市の物集女車塚古墳の調査研究の世界を多くの写真・図版で紹介するのは本書だけです。

著者紹介

秋山 浩三(アキヤマ・コウゾウ)

1957年、大阪府枚岡市(現・東大阪市)生まれ。岡山大学大学院修士課程文学研究科修了。(財)向日市埋蔵文化財センターなどを経て、(財)大阪府文化財センターで、1995年度からの史跡池上曽根遺跡の発掘・第1期整備事業の業務ほかに携わる。
現在、桃山学院大学客員教授(国際教養学部、エクステンション・センター)、大阪府立弥生文化博物館学芸顧問(前副館長)、近畿大学・神戸女子大学・大阪樟蔭女子大学講師(非常勤)、博士(文学):大阪大学。
主な著作 『弥生時代のモノとムラ』『古墳時代のモノと墓』『河内弥生文化の点描』(以上:新泉社、単著)、『日本古代社会と物質文化』『弥生大形農耕集落の研究』(以上:青木書店、単著)、『交合・産・陰陽道・臼─考古学とその周辺』『河内・和泉の考古記録』(以上:清風堂書店、単著)、『煩悶する若き考古技師』(京都三星出版、編著)、ほか

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