第37回「サントリー学芸賞」受賞作
越境する宗教 モンゴルの福音派
ポスト社会主義モンゴルにおける宗教復興と福音派キリスト教の台頭
- 四六判上製
- 288頁
- 2600円+税
- ISBN 978-4-7877-1501-2
- 2015発行
- [ 在庫あり ]
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書評・紹介
- 第37回「サントリー学芸賞」(社会・風俗部門、2015年度)選評:袴田茂樹氏
- 月本昭男氏評「民主化で変わる信仰」(「読売新聞」2015年5月31日)
- 芝山豊氏評「書評委員10人が選んだ新年の一冊」(「信濃毎日新聞」2016年1月3日)
- 「長崎新聞」2016年1月17日「社会主義後の信仰追う」
- 「西日本新聞」2016年2月1日「台頭する「モンゴルの福音派」」
- 葛西賢太氏評(「宗教と社会」第22号、2016年)
- 森孝一氏評(「宗教研究」90巻1号、2016年)
- 藤本透子氏評(「東北アジア研究」20号、2016年)
- 「中外日報」2015年4月10日
紹介文
◎2015年度「第37回 サントリー学芸賞」(社会・風俗部門)受賞作!!
〈モンゴルの民主化とキリスト教〉
70年近く続いた社会主義体制が崩壊し、急激な変化に晒されたモンゴル国で、教線を急拡大していった福音派キリスト教。
複雑な要因が絡み合うなかで起こった「宗教の越境」という現象を丁寧に解きほぐし、流動化が増す現代社会において宗教を捉える新たな視座を提供する。
「民主化はモンゴルに宗教の自由化をもたらした。「宗教の復興」は、主に社会主義時代も密かに人々によって維持されてきた仏教の復活を表していたが、既存の宗教の復興以外でもっとも顕著な出来事がキリスト教の台頭だった。
信教の自由を獲得した人々の一部は、なぜ「伝統的」な仏教ではなく別の宗教へ向かっていったのだろうか。体制移行期の混乱にともなう一時的な現象なのか、それとも、社会主義の歴史的影響なのか、あるいは、よりグローバルなキリスト教の動きと連動しているのか。
本書では、この現象を現代世界における「宗教の越境」の一つとして捉える。「宗教の越境」といっても、それはきわめて複雑な諸過程の複合であり、それを可能としている諸条件を、モンゴルの現状と歴史から、丁寧に解きほぐしていく作業が大部分を占めることになるだろう。」――著者
目次
第一章 福音派の越境をどう捉えるか
第一節 モンゴルの民主化とキリスト教
第二節 ポスト社会主義をどう定位するか
第三節 宗教の越境をどう捉えるか
第二章 「民族」をどう越えるか
第一節 ポスト社会主義モンゴルにおける「民族」と「宗教」
第二節 宗教言説と福音派の位相
第三節 「神」の訳語を通して見る福音主義と民族主義の葛藤
第三章 「宗教」をどう越えるか
第一節 家庭内祭祀の持続と変容
第二節 福音派への改宗と家庭内祭祀
第四章 越えて結ばれるもの
第一節 福音派教会における援助と信仰
第二節 祈りの共有と「救い」の共同性
第三節 越境する共同性――在米モンゴル人教会
終章 福音派の越境が意味するもの