「思想」としての大塚史学

「思想」としての大塚史学

戦後啓蒙と日本現代史

  • 恒木 健太郎/著
  • 四六判上製
  • 440頁
  • 3800円+税
  • ISBN 978-4-7877-1307-0
  • 2013.03.30発行
  • [ 在庫あり ]
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紹介文

〈動員のユートピア〉とその挫折

戦後の代表的思想家として丸山眞男とならぶ存在とされる経済史家、大塚久雄。
「大塚史学」が圧倒的な力をもった1960年代までの言説に焦点を当てた検証作業をとおして、グローバル化と右傾化がパラレルに進行する危機の時代に対峙しうる「思想の力」を想起する。
第10回日本社会学史学会奨励賞(2013年度)受賞。

「「死」をむかえたはずの戦後史学は、いまだやすらかに眠ることを許されえていない。
 グローバル化と右傾化がパラレルに進行する危機の時代において、なぜ戦後史学が安寧の「死」をむかえることができないのか。
 その一端をあきらかにすることが、本書の課題である。」(本文より)

「「大塚史学」が大きな影響力をうしなってから40年あまりがたつ。すでにその学問的葬送は終わったはずである。
 だが、人が使い捨てられることを是とするような収奪社会がつづくかぎり、「思想」としての大塚史学は、貧困にあえぐ「生産者」や「勤労民衆」のための思想として「ファンダメンタリズム的化石化」のかたちで生きつづけることになるだろう。
 「大塚史学」を葬送したはずの、学問における「思想の力」が、いまここに問われている。そして、その「ファンダメンタリズム的化石化」を食い止める叡智こそが要求されているのである。」(著者)

目次

序章 大塚史学と現代

第1章 投機批判における連続と変化

第2章 「前期的資本」から「中産的生産者層」へ

第3章 「大塚史学批判」から「局地的市場圏」へ

第4章 「等価交換の倫理」から「社会主義化」へ(一)

第5章 「等価交換の倫理」から「社会主義化」へ(二)

第6章 「ユダヤ人」観とナチズム評価

終章 大塚史学の残した課題

著者紹介

恒木 健太郎(ツネキ・ケンタロウ)

1979年、兵庫県生まれ。京都大学院人間・環境学研究科博士後期課程研究指導認定退学。博士(人間・環境学)。京都大学大学院法学研究科COE研究員、京都府立大学文学部共同研究員等を経て、日本学術振興会特別研究員(PD)