グローバル化を超える市民社会

21世紀叢書

グローバル化を超える市民社会

社会的個人とヘゲモニー

  • 斉藤 日出治/著
  • A5判
  • 288頁
  • 2300円+税
  • ISBN 978-4-7877-0913-4
  • 2010発行
  • [ 在庫僅少 ]
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紹介文

新自由主義の破綻が語られるなか、市民社会、社会主義、アソシアシオン等の理念を再構築する力をもった新たな思想が求められている。三人の古典思想家マルクス、グラムシ、ルフェーヴルの方法概念を手がかりに、脱グローバリゼーションの歴史的選択の方向性をアクチュアルに提示する。

目次

序章 ポスト・グローバリゼーションの社会形成
1グローバリゼーションの歴史的かまどとしての市民社会/2古典で読み解くグローバリゼーション/3グローバリゼーションの対抗的ヘゲモニーとしての市民社会

第1部 グローバル化時代の歴史認識
第1章 グローバル化時代の日常生活批判――神秘化意識の自己認識
1疎外の源泉としての日常生活/2神秘化意識と物神性/3様式の衰退と神秘化された意識/4脱神秘化としての階級闘争/5資本による日常生活の組織化/6労働と余暇の節合/7社会的欲求の組織化としての社会主義

第2章 グローバル化時代の地方文化論――地方文化をめぐるヘゲモニー闘争
1普遍的文明としての地方文化/2地方文化の解体と商品化/3地方文化の再構築/4地方文化の新たな歴史的選択

第3章 グローバル化時代のメディア文化論――歴史認識をめぐるヘゲモニー闘争
1アメリカニゼーションとナショナリズム/2戦後日本のナショナリズムとナショナル・メディア/3グローバリゼーションとネオ・ナショナリズム/4トランスナショナルな歴史認識と対抗的メディア

第2部 グローバル化時代における社会的個人の生成
第4章 資本の生産諸力と社会的個人
1ブルジョア社会と社会的個人/2資本の生産諸力と社会的個人/3資本の生産諸力とコミュニズム/4資本の生産諸力と生政治的生産

第5章 社会的個人と集合的身体
1〈厳密な個人主義者〉マルクス/2非物質的労働と社会的個人/3非物質的労働と身体/4生政治的権力による身体への介入/5身体の生政治的管理と対抗的ヘゲモニー/6集合的身体の発見/7むすび

第6章 社会的個人とグローバル社会主義の生成
1マルクスの社会主義論の原像/2グローバル化時代における社会主義の生成/3社会的個人とコミュニティ/4社会主義の倫理的きずなとしての〈博愛〉

第3部 グローバル化時代の市民社会とヘゲモニー
第7章 グローバル化時代における政治概念――ポスト政治批判と生政治的生産
1自由主義思想とポスト政治の支配/2内省的近代化論批判/3帝国論とポスト政治批判/4帝国の主権と〈政治的なるもの〉/5〈政治的なるもの〉と生政治的生産/6ラディカル・デモクラシーと絶対的民主主義

第8章 ヘゲモニー概念の再発見――コーポラティズムからガヴァナンスへ
1経済学の危機と市民社会の位相/2資本蓄積の危機と国家コーポラティズム/3フォード主義とネオ・コーポラティズム/4新自由主義とガヴァナンス/5新自由主義の危機と対抗的ガヴァナンス

第9章 グローバル・ガヴァナンスのヘゲモニー闘争
1社会闘争としてのグローバル・ガヴァナンス/2経済学の言説とグローバル・ガヴァナンスのヘゲモニー闘争

第10章 グローバル・カタルシスの時代――グラムシとルフェーヴルをつなぐもの
1「全体主義者」としてのグラムシ像/2「全体国家」を超えるヘゲモニー闘争の出現/3都市的なるものの位相/4グローバル・カタルシスに向かって

著者紹介

斉藤 日出治(サイトウ・ヒデハル)

1945年、長野県生まれ。1969年、東京外国語大学卒業。
1976年、名古屋大学大学院経済学研究科博士課程修了。
大阪産業大学名誉教授。
主要著訳書
著書 :『物象化世界のオルタナティブ』(昭和堂、1990年)、『都市の美学』(共著、平凡社、1996年)、『ノマドの時代』(大村書店、1994年、増補版1999年)、『国家を越える市民社会』(現代企画室、1998年)、『空間批判と対抗社会』(現代企画室、2003年)、『帝国を超えて』(大村書店、2005年)、『グローバル化を超える市民社会』(新泉社、2010年)
訳書 :M.ギヨーム『資本とその分身』(法政大学出版局、1987年)、B.シャヴァンス『社会主義のレギュラシオン理論』(大村書店、1992年)、A.コッタ『狼狽する資本主義』(法政大学出版局、1993年)、H.ルフェーヴル『空間の生産』(青木書店、2000年)ほか多数