鳥栖のつむぎ

鳥栖のつむぎ

もうひとつの震災ユートピア

  • 関 礼子/編
  • 廣本 由香/編
  • 四六判上製
  • 272頁
  • 1800円+税
  • ISBN 978-4-7877-1415-2
  • 2014発行
  • [ 在庫あり ]
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書評・紹介

  • 好井裕明氏評(「図書新聞」2015年1月24日)
  • 「東京新聞」「中日新聞」2015年3月9日
  • 「佐賀新聞」2015年3月11日
  • 「ふぇみん」3086号、2015年4月

紹介文

佐賀県鳥栖(とす)市。
福島第一原発事故で故郷を強制的に追われた人、〈自主〉的に避難した人、避難を終えて戻っていった人……。迷いや葛藤を抱えながら鳥栖に移った母親たちが、人とつながり、支えられ、助け合い、紡いでいった6つの家族の〈避難とその後〉の物語。


私たちは、「物語」が熟するタイミングで鳥栖のお母さんたちに出会うことができた。「誰かのためにではなく、自分のために」語られた「物語」に最初に触れることができた。そしていま、この本を手にとってくださっている「あなた」に届けることができるのは、ちょっとした奇跡だと思う。 ――――編者

目次

プロローグ 六つの「物語(ナラティヴ)」が生まれるまで…………関 礼子

1 革作家の「物語」…………福島県浪江町 Kinari(二〇代)

2 四人の家族と四つのふるさとの「物語」…………福島県郡山市 岩手生まれのママ(二〇代)

3 常盤家の「物語」…………福島県いわき市 常盤裕子(二〇代)

4 ホットスポットから避難した家族の「物語」…………千葉県市川市 ママ(二〇代)

5 イチゴ農家の「物語」…………北関東 ママ(四〇代)

6 小柳家の「物語」…………福島県福島市 小柳直枝(三〇代)


〈避難をめぐる少し長めの解説〉
解説1 人を大切にしない「いま、ここ」――非自発的な自主避難…………関 礼子
解説2 鳥栖(セカンドホーム)に避難した母親(ピンクバード)たち…………関 礼子
解説3 心の「揺れ」と「やさしい紐帯」…………廣本由香


エピローグ 「物語」が響きあう社会空間=公共圏へ…………関 礼子

編者あとがき

著者紹介

関 礼子(セキ・レイコ)

1966年、北海道生まれ。立教大学社会学部教授。専門は環境社会学、地域環境論。
主な著作等:『シリーズ 環境社会学講座 3 福島原発事故は人びとに何をもたらしたのか——不可視化される被害、再生産される加害構造』(共編著、新泉社、2023年)、『福島からの手紙——十二年後の原発災害』(編著、新泉社、2023年)、「自然と生活を軽視する論理に抗う——新潟水俣病にみる公害被害の現在」(『シリーズ 環境社会学講座 1 なぜ公害は続くのか——潜在・散在・長期化する被害』新泉社、2023年)、『多層性とダイナミズム——沖縄・石垣島の社会学』(共編著、東信堂、2018年)、『阿賀の記憶、阿賀からの語り——語り部たちの新潟水俣病』(編著、新泉社、2016年)、『“生きる”時間のパラダイム——被災現地から描く原発事故後の世界』(編著、日本評論社、2015年)、『鳥栖のつむぎ——もうひとつの震災ユートピア』(共編著、新泉社、2014年)、『新潟水俣病をめぐる制度・表象・地域』(東信堂、2003年)など

廣本 由香(ヒロモト・ユカ)

福島大学行政政策学類准教授。
立教大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。
専門は環境社会学、地域環境論。

関連書籍

  • 阿賀の記憶、阿賀からの語りFTP
  • マーシャル諸島 終わりなき核被害を生きるFTP
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