南相馬に躍動する古代の郡役所・泉官衙遺跡

シリーズ「遺跡を学ぶ」106

南相馬に躍動する古代の郡役所・泉官衙遺跡

  • 藤木 海/著
  • A5判
  • 96頁
  • 1600円+税
  • ISBN 978-4-7877-1536-4
  • 2016発行
  • [ 在庫あり ]
  • 書店サイトへ

紹介文

東日本大震災で津波被害にあった福島県南相馬市には、古代の役所「行方郡衙(なめかたぐんが)」が置かれていた。戦乱・災害に激動する古代東北の地に、律令国家と地域社会を結ぶ要となり、産業振興に大きな役割を果たした郡役所の姿を追う。

目次

第1章 伝説の地、泉に眠る古代遺跡
1 陸奥国行方郡
2 伝説の地、泉に眠る遺跡

第2章 全貌をあらわした郡庁院
1 郡庁院の発掘調査
2 郡庁院の全貌に挑む
3 郡庁院の構造と変遷

第3章 地方官衙のさまざまな役割
1 正倉院─多様な基礎構造をもつ「倉」と「屋」
2 正倉院を特徴づける出土遺物
3 交通宿泊機能をもった官衙
4 水上交通関連施設
5 農業経営の拠点となった郡衙
6 官衙の変遷

第4章 瓦からみた寺院
1 寺院の創建─I群の瓦
2 天平期の補修 ─II群の瓦
3 平安時代の補修─III群の瓦

第5章 行方郡の地域社会
1 行方郡の成立と在地氏族
2 行方郡と製鉄
3 手工業生産の展開と地域開発
4 これからの泉官衙遺跡

著者紹介

藤木 海(フジキ・カイ)

1973年、東京都生まれ。国士舘大学文学部史学地理学科卒業。立正大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了。2011年6月まで南相馬市教育委員会文化財課で泉官衙遺跡の保存・整備を担当したが、東日本大震災の災害対応のため、南相馬市役所建設部建築住宅課副主査を経て現在、南相馬市教育委員会文化財課主任文化財主事。
主な著作 「郡衙の倉庫群とその変遷」『北区文化財研究紀要』第12集、「泉廃寺跡出土の植物文軒先瓦の変遷」『古代東国の考古学』(慶友社)、「有蕊弁蓮華文鐙瓦の展開とその背景」『福島考古』第47号、「泉廃寺跡と関連遺跡の8世紀における造瓦」『福島考古』第50号ほか

関連書籍

  • 律令国家の対蝦夷政策 相馬の製鉄遺跡群 〔改訂版〕