激動の中を行く 〔新編〕
新刊

日本のフェミニズムを拓いた誇り高いことば

激動の中を行く 〔新編〕

与謝野晶子女性論集

  • 与謝野 晶子/著
  • もろさわ ようこ/編・解説
  • 四六判
  • 296頁
  • 2300円+税
  • ISBN 978-4-7877-2100-6
  • 2021.03.31発行
  • [ 在庫あり ]
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紹介文

「山の動く日来る。…すべて眠りし女今ぞ目覚めて動くなる」。1911年、与謝野晶子が婦人解放の詩を雑誌『青鞜』に発表してから110年。

歌人として知られる晶子は母性保護、婦人参政権、女らしさの問題などに対して鋭い感性で独自の批評を展開し、それは今なお色あせていません。本書は、晶子の代表作『激動の中を行く』を中心に、日本のフェミニズムを拓いたその誇り高いことばをセレクトした評論集です。『青鞜』創刊号に寄せられた晶子の詩「そぞろごと」を抄録し、また編集・解説を担当した女性史研究家・もろさわようこの書き下ろしのメッセージを掲載しています。

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目次

はじめに もろさわようこ

そぞろごと 抄

第一部 女として、人間として

鏡心灯語 抄
私の恋愛観
愛の訓練
産前の恐怖
私自身に対する反省
考える生活
思想の流動と深化
愛の創作

第二部 婦人問題

母性偏重を排す
婦人の堕落する最大原因
未来の婦人となれ
平塚さんと私の論争
婦人改造の基礎的考察
私たち労働婦人の理想
女子の知力を高めよ
生活改善の第一基礎
自己に生きる婦人
性的特徵について
有産階級の妻
「女らしさ」とは何か

第三部 社会・思想・教育

激動の中を行く
デモクラシーについて私の考察
生活の消極主義を排す
平等主義の実現
質の改造へ
むしろ父性を保護せよ
人間性の教育
女教師たちに
女子と高等教育

解説 もろさわようこ

『激動の中を行く』について
与謝野晶子をとおして女たちの反戦を考える

与謝野晶子年表

出版社からのコメント

「女子が男子と同じ程度の高い教育を受けたり、男子と同じ範囲の広い職業についたりすると、女子特有の美しい性情である「女らしさ」というものを失って……よろしくないというのです。私は第一に問いたい。その人たちのいわれるような結論は何を前提にして生じるのですか」

今から100年前、1921年に発表された与謝野晶子の評論「「女らしさ」とは何か」からの一節です。2018年、日本の複数の大学の医学部入試で、女性学生らが不利に扱われていた不正入試問題が明らかにされましたが、教育や職業の男女差別をいちはやく批判した晶子の女性論には、学ぶべきところがなお多くあります。

本書には、平塚らいてう、山川菊栄らとの間で繰り広げられた「母性保護論争」に関する評論も収録。フェミニズムの開拓者の発言を歴史的な知識として身につけておくことは、現在も続く差別や暴力の問題について考えるときの支えになるはずです。

著者紹介

与謝野 晶子(ヨサノ・アキコ)

1878〜1942年。歌人、作家、思想家。1904年9月、「君死にたまふことなかれ」で有名。また1911年、史上初の女性文芸誌『青鞜』創刊号に「山の動く日きたる」で始まる詩を寄稿。詩作、評論活動とエネルギッシュな人生を送り、女性解放思想家としても巨大な足跡を残した。

もろさわ ようこ(モロサワ・ヨウコ)

1925年、長野県生まれ。太平洋戦争末期、出身地に疎開してきた陸軍士官学校生徒隊本部で筆生として働く。戦後、新聞記者、紡績工場企業内学院教員、婦人団体機関誌編集などを経て執筆活動にはいる。主な著書『おんなの歴史』『信濃のおんな』(毎日出版文化賞受賞)『おんなの戦後史』『おんな・部落・沖縄』『わが旅……』『おんなろん序説』(以上、未來社)、『わわしい女たち』(三省堂)、『解放の光と影』『女・愛と抗い』『オルタナティブのおんな論』『大母幻想』『南米こころの細道』(以上、ドメス出版)、『もろさわようこの今昔物語集』(集英社)、『いのちに光あれ』(径書房)、『沖縄おんな紀行』(影書房)。編著『ドキュメント女の百年』全六巻(平凡社)など。
著作・講演のほか、「自由・自立・連帯」の交流施設「歴史を拓くはじめの家」(1982年)を出生地の長野県佐久市望月に、「歴史を拓くはじめの家うちなあ」(1994年)を沖縄県南城市に、「歴史を拓くよみがえりの家」(1998年)を高知県高知市に開設。30周年を経て「志縁の苑」に改組。これらの活動が評価され、2005年に信毎賞を受賞した。