社会のしんがり
新刊

「助けて」と言えない世の中で困窮とどう闘うか!

社会のしんがり

  • 駒村 康平/編著
  • 四六判
  • 464頁
  • 2800円+税
  • ISBN 978-4-7877-2003-0
  • 2020.03.26発行
  • [ 在庫あり ]
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書評・紹介

紹介文

長期にわたる出生率の低下と長寿の伸長により、日本の多くの地域で高齢化・人口減少は深刻化しています。大きな地方都市の駅前でもシャッターを閉めた店が多くなり、地域社会の衰退は深刻です。最近は都市部でも高齢者が目立つようになり、空き家が増えています。
こうしたなか、要介護者、認知症、障がい者、貧困、ひきこもり、不登校、無業・失業者などの複合課題を抱えた家族が増加し、社会から取り残されています。そうした制度のはざまに陥ってしまった地域の困窮者は、「助けて」という声も上げられず、困窮のスパイラルにはまっているのです。
本書は、そんな地域の困窮者を支えるために格闘している人や組織を「しんがり」と呼び、彼らの活動をまとめました。「しんがり」たちは、制度疲労により劣化しつつある地域社会をどのように支えているのでしょうか。地域の困窮との闘いかたを、「しんがり」たちに教えてもらいます。
なお、本書は2014年度から2018年度の5年間にわたって行われた慶應義塾大学経済学部の全労済協会の寄附講座「生活保障の再構築――自ら選択する社会福祉」の中から、11人の講義を選び、編集しました。

目次

序文 社会のしんがり
――しんがりに学ぶ地域の困窮との闘いかた
慶應義塾大学経済学部教授 駒村康平
1. 本書の目的――講義録の出版に際して
2. 本書の問題意識
3. 慶應義塾大学経済学部の講義

第1部 子どもを取り巻く問題  要旨:駒村康平
第1章 子ども・若者の貧困と地域の居場所づくり
NPO法人さいたまユースサポートネット代表 青砥 恭
第2章 逆境から自立する子どもにチャンスを
――児童養護施設から自立する子どもが直面する課題
東北福祉大学特任准教授 池上和子

第2部 貧困・社会的孤立の問題 要旨:駒村康平
第3章 生活困窮者への伴走型支援のかたちを探る
東八幡キリスト教会牧師・NPO法人抱樸理事長 奥田知志
第4章 ひきこもり等で孤立する子ども・若者をアウトリーチで支援する
NPOスチューデント・サポート・フェイス代表 谷口仁史

第3部 障害者問題  要旨:駒村康平
第5章 発達障害の人の困りごとを解決することはユニバーサル社会の第一歩
元一般社団法人日本発達障害ネットワーク事務局長 橋口亜希子
第6章 ダイバーシティ社会・障害者雇用支援
日本財団国内事業開発チームシニアオフィサー 竹村利道
第7章 障害者雇用の新潮流
オムロン京都太陽株式会社前代表取締役社長 宮地 功

第4部 地域社会の取り組み 要旨:駒村康平
第8章 生活保障の再構築と全員参加社会の構築
――自ら選択する福祉社会
秋田県藤里町社会福祉協議会会長 菊池まゆみ
第9章 制度のはざまから社会福祉を見直す
大阪府豊中市社会福祉協議会事務局次長兼福祉推進室長 勝部麗子
第10章 生活困窮者と家計相談支援
――野洲市が取り組む相談支援
滋賀県野洲市市民生活相談課長 生水裕美
第11章 個人で生きる社会から江戸時代の社会へ
共生社会の実現へ向けて
――地方都市の生き残りをかけた挑戦
三重県名張市長 亀井利克

おわりに
――皇帝ペンギンの子育ての寓話 駒村康平

出版社からのコメント

2015年4月にスタートした「生活困窮者自立支援制度」によって、これまで「生活保護」しかなかった日本のセーフティネットが少し広がりました。とはいえ、まだまだ制度のはざまに落ちてしまって、福祉が届かない困窮者はたくさんいます。
今回紹介した11人は、そんな制度のはざまに陥っている困窮者を救うべく、日本各地で地域社会を必死に支えるために毎日格闘している人たちです。
学生たちの質問に真摯に答える「しんがり」の姿に、彼らに制度疲労に陥っている日本の未来を託していきたいという期待が感じられます。
地域社会で何が起こっているか、ぜひ皆さんに読んで知っていただきたいです。

著者紹介

駒村 康平(コマムラ・コウヘイ)

慶應義塾大学経済学部教授、ファイナンシャル・ジェロントロジー研究センター長
1964年生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。博士(経済学)。
国立社会保障・人口問題研究所、駿河台大学経済学部助教授、東洋大学経済学部教授などを経て、2007年から慶應義塾大学経済学部教授。厚生労働省顧問、社会保障審議会委員(年金部会、年金数理部会、生活保護基準部会部会長、障害者部会部会長、生活困窮者自立支援及び生活保護部会部会長代理、人口部会)、金融庁金融審議会市場WG委員、社会保障制度改革国民会議委員など。
著書に『日本の年金』(岩波書店)、『社会政策』(有斐閣)、『中間層消滅』(角川新書)、編著に『検証・新しいセーフティネット』(新泉社)など多数。

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