世界遺産と地域再生 〔改訂版〕

世界遺産と地域再生 〔改訂版〕

問われるまちづくり

  • 毛利 和雄/著
  • A5判
  • 240頁
  • 2000円+税
  • ISBN 978-4-7877-1113-7
  • 2011発行
  • [ 在庫あり ]
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紹介文

ついに平泉が世界遺産に登録された。平泉や石見銀山の世界遺産としての価値はどこにあるのか。また、地元でどのような取り組みがなされているのか。平泉、石見銀山、尾道、鞆の浦など、各地の実情から世界遺産登録をめざすまちづくりと地域再生のあり方を提言する。

『この知恵が明日への資源だ。』──大林宣彦氏推薦!
「スクラップ・アンド・ビルド(壊して作れ)の時代が終わり、日本古来のメンテナンス(修理して維持)のくらしが再生されつつある今、古き文化を明日に伝える世界遺産をめざすまちづくりが人の心に与える豊かさは計り知れない。毛利さんの提言にぼくは深く共感する。」

目次

0:日本の世界遺産

1:世界遺産とは何か
 石見銀山“逆転登録”の顛末
 世界遺産の理念と創設
 世界遺産登録までの仕組み
 世界遺産のグローバルストラテジー

2:石見銀山が世界遺産になった底力
 過疎化に悩む町からの出発
 町並み保存へご近所の底力
 欠かせないまちづくりのキーマン
 考古学の力
 歴史遺産と観光

3:平泉、ついに登録
 有名観光地がなぜ
 奥州の王者、藤原四代の栄華の跡
 防災か、歴史遺産の保存か
 文化的景観の発見
 農村の景観の維持
 平泉の登録、東北復興の象徴

4:「坂のまち」尾道、試行錯誤のまちづくり
 市長の提案、踊る市民と踊らぬ市民
 「懐かしい過去」のまち尾道
 再開発事業と歴史遺産
 空き家バンクと空き家再生
 たとえ世界遺産に立候補しなくても

5:鞆の浦“世界遺産訴訟”
 歴史遺産のど真ん中に道路が
 道路建設か景観保存か
 注目される鞆の浦の文化的景観
 町並み保存の進展と棚上げ
 住民による鞆のまちづくり
 鞆を世界遺産に
 まちの活性化とは
 埋立架橋差止の画期的判決

6:問われるまちづくり
 世界遺産の二つの画期と日本
 鎌倉と富士山、揺れたコンセプト
 世界遺産をめざす各地の動きと文化的景観
 地域再生と歴史的まちづくり新法

著者紹介

毛利 和雄(モウリ・カズオ)

1948年生まれ。早稲田大学第一政治経済学部卒業。
NHK入局後、奈良・大阪局、解説委員を勤める。文化財報道に長年携わる。
著書:『高松塚古墳は守れるか――保存科学の挑戦』(NHKブックス)、共著:『季刊考古学別冊 ジャーナリストが語る考古学』(雄山閣朱男出版)、論文:「考古学ブームとマスコミ報道」『月刊考古学ジャーナル(456号)』(ニューサイエンス社)、連載:「歴史的港湾都市『鞆を救え』」『季刊まちづくり』(学芸出版社)、「守れるか古墳壁画」『月刊ミュゼ』(アム・プロモーション)。