入門 家族社会学

入門 家族社会学

  • 永田 夏来/編
  • 松木 洋人/編
  • A5判
  • 240頁
  • 2300円+税
  • ISBN 978-4-7877-1704-7
  • 2017発行
  • [ 在庫あり ]
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紹介文

「家族社会学の基本をおさえる」「家族の今について理解を深める」「家族社会学の幅の広さに触れる」の3つのパートで学ぶ新しい入門書。

家族社会学の面白さに接近する本は、これまでもたくさん出版されてきました。しかし、この本には、従来にはない次のような特徴があります。まず、現代的なトピックと家族社会学の成果を架橋していること。数字にもとづく「量的データ」と言葉などにもとづく「質的データ」の両方を用いていること。そして、今日でも根強く残る家族主義を批判的に検討していることです。

目次

Part 1 家族社会学の基本をおさえる
1 │ 日本社会の家族変動 (松木洋人)
2 │ 恋愛と結婚 (永田夏来)
3 │ 家族の近代化と子育ての変容 (野田 潤)
4 │ 家族と介護 (齋藤曉子)
Part 2 家族の今について理解を深める
5 │ 社会階層と家族 (吉田 崇)
6 │ 離婚,再婚と子育て (藤間公太)
7 │ 成人した子どもと親との関係 (保田時男)
8 │ 多様化するパートナーシップと共同生活 (阪井裕一郎)
Part 3 家族社会学の幅の広さに触れる
9│ 家族とお金と愛情 (田中慶子)
10│ 結婚差別問題と家族 (齋藤直子)
11│ セクシャル・マイノリティにとっての子育て (三部倫子)
12│ 子育てひろばにおけるやりとりとつながり (戸江哲理)
13│ ポスト工業化社会への移行から考える家族と政治 (本多真隆)

松木洋人(まつき・ひろと)編・第1章
大阪市立大学大学院生活科学研究科准教授.おもな著作・論文 「家族定義問題の終焉─日常的な家族概念の含意の再検討」『家族社会学研究』25(1),2013./『子育て支援の社会学─社会化のジレンマと家族の変容』新泉社, 2013./野辺陽子・松木洋人・日比野由利・和泉広恵・土屋敦『〈ハイブリッドな親子〉の社会学--血縁・家族へのこだわりを解きほぐす』青弓社, 2016.

永田夏来(ながた・なつき)編・第2章
兵庫教育大学大学院学校教育研究科助教.おもな著作・論文 「妊娠先行型結婚と通常結婚の背景と出生意欲」内閣府経済社会総合研究所『夫婦の出生力の低下要因に関する分析「少子化と夫婦の生活環境に関する意識調査」の個票を用いて』,2015./「若者の恋愛行動にみるイニシアチブと人間関係」『季刊 SEXUALITY』77, 2016./「越境する夏フェス女子─音楽とインターネットをめぐるインテグラルなアクション」池田太臣・吉光正絵・西原麻里編『ポスト〈カワイイ〉の文化社会学』ミネルヴァ書房, 2017.

野田 潤(のだ・めぐみ)第3章
日本女子大学非常勤講師ほか.おもな著作・論文 「『子どものため』という語りから見た家族の個人化の検討─離婚相談の分析を通じて(1914~2007)」『家族社会学研究』20(2),2008./品田知美・野田潤・畠山洋輔『平成の家族と食』晶文社, 2015./橋爪大三郎・佐藤郁哉・吉見俊哉・大澤真幸・若林幹夫・野田潤『社会学講義』ちくま新書, 2016.

齋藤曉子(さいとう・あきこ)第4章
島根県立大学総合政策学部講師.おもな著作・論文 「高齢者・家族・サービス提供者の相互関係分析─夫婦間介護におけるサービス〈受容〉のプロセス」『社会政策研究』7, 2007./「受ける側からみる介護」三井さよ・鈴木智之編『ケアのリアリティ─境界を問いなおす』法政大学出版局, 2012./『ホームヘルプサービスのリアリティ─高齢者とヘルパーそれぞれの視点から』生活書院, 2015.

吉田崇(よしだ・たかし)第5章
静岡大学人文社会科学部准教授.おもな著作・論文 「世代間所得移動からみた機会の不平等」石田浩・近藤博之・中尾啓子編『現代の階層社会2 階層と移動の構造』東京大学出版会,2011./「若年女性の初期キャリアとライフコースの動態」『社会学研究』90, 2012./「家族構造と進学行動」尾嶋史章・荒牧草平編『現代高校生の生活と進路』世界思想社(近刊).

藤間公太(とうま・こうた)第6章
国立社会保障・人口問題研究所社会保障応用分析研究部研究員.おもな著作・論文 「家族再統合の諸相─ある児童自立支援施設の実践から」『家族社会学研究』26(2),2014./「施設養護家庭論の検討─児童自立支援施設での質的調査から」『社会学評論』67(2),2016./『代替養育の社会学─施設養護から〈脱家族化〉を問う』晃洋書房, 2017.

保田時男(やすだ・ときお)第7章
関西大学社会学部教授.おもな著作・論文 「年の差きょうだいはなぜ増えているのか─第2子出生タイミングのイベントヒストリー分析」筒井淳也・長松奈美江・神林博史・藤原翔・渡邉大輔編『計量社会学入門─社会をデータでよむ』世界思想社, 2015./稲葉昭英・保田時男・田渕六郎・田中重人編『日本の家族 1999-2009─全国家族調査[NFRJ]による計量社会学』東京大学出版会, 2016./筒井淳也・水落正明・保田時男編『パネルデータの調査と分析・入門』ナカニシヤ出版, 2016.

阪井裕一郎(さかい・ゆういちろう)第8章
日本学術振興会特別研究員(PD).おもな著作・論文 「家族の民主化─戦後家族社会学の〈未完のプロジェクト〉」『社会学評論』63(1), 2012./「家族主義という自画像の形成とその意味─明治・大正期における知識人の言説から」『家族研究年報』38, 2013./(共著)「事実婚カップルはなぜ『結婚』するのか─結婚をめぐる差異化と同一化の語りから」『年報社会学論集』28, 2015.

田中慶子(たなか・けいこ)第9章
公益財団法人家計経済研究所次席研究員.おもな著作・論文 「未婚者のサポート・ネットワークと自立」岩上真珠編『〈若者と親〉の社会学』青弓社, 2010./「若年未婚『家族外生活者』にみる家族変動」『成城大学社会イノベーション研究』10(2),2015./(共著)「中期親子関係の良好度」稲葉昭英ほか編著『日本の家族1999-2009─全国家族調査[NFRJ]による計量社会学』,2016.

齋藤直子(さいとう・なおこ)第10章
大阪市立大学人権問題研究センター特任准教授.おもな著作・論文 「都市型被差別部落への転入と定着─A地区実態調査から」『人権問題研究』10, 2010./「部落青年の結婚問題─全国部落青年の雇用・生活実態調査から」『部落解放研究』198, 2013./「部落出身者と結婚差別」『α-synodos』140, 2014.

三部倫子(さんべ・みちこ)第11章
石川県立看護大学看護学部講師.おもな著作・論文 「『家族』からの離れがたさ─セクシュアルマイノリティの『病院での面会』から」『支援』3, 2013./『カムアウトする親子─同性愛と家族の社会学』御茶の水書房, 2014./「日本におけるセクシュアル・マイノリティの『家族』研究の動向─2009年以降の文献と実践家向けの資料を中心に」『家族研究年報』41,2016.

戸江哲理(とえ・てつり)第12章
神戸女学院大学文学部専任講師.おもな著作・論文 「乳幼児をもつ母親の悩みの分かち合いと『先輩ママ』のアドヴァイス─ある『つどいの広場』の会話分析」『子ども社会研究』14, 2008./「晩ごはんのひとり言─相互行為における公私区分とその交渉」『家族研究年報』38, 2013./「例外扱いする特権─母親による子どもに対する『この人』という指示」『社会学評論』67(3),2016.

本多真隆(ほんだ・まさたか)第13章
早稲田大学人間科学学術院助手.おもな著作・論文 「戦後民主化と家族の情緒─『家族制度』と『民主主義的家族』の対比を中心に」『家族社会学研究』25(1),2013./「家族研究における『ピエテート』概念受容の諸相─戸田貞三と川島武宜の家族論にみる情緒と権威の関連性」『家族研究年報』38, 2013./「近代日本の『家族』と買売春の位相─廃娼・存娼論における『公娼/私娼』カテゴリーへの着目から」『ソシオロジ』60(2),2015.

著者紹介

永田 夏来(ナガタ・ナツキ)

兵庫教育大学大学院学校教育研究科助教。おもな著作・論文 「妊娠先行型結婚と通常結婚の背景と出生意欲」内閣府経済社会総合研究所『夫婦の出生力の低下要因に関する分析「少子化と夫婦の生活環境に関する意識調査」の個票を用いて』、2015./「若者の恋愛行動にみるイニシアチブと人間関係」『季刊 SEXUALITY』77, 2016./「越境する夏フェス女子─音楽とインターネットをめぐるインテグラルなアクション」池田太臣・吉光正絵・西原麻里編『ポスト〈カワイイ〉の文化社会学』ミネルヴァ書房, 2017.

松木 洋人(マツキ・ヒロト)

1978年生まれ、兵庫県出身、博士(社会学)慶應義塾大学大学院社会学研究科後期博士課程を単位取得退学後、早稲田大学人間科学学術院助手、東京福祉大学短期大学部専任講師を経て、現在、大阪市立大学大学院生活科学研究科准教授。
専門は家族社会学
主な著書 『入門家族社会学』(共編)、『子育て支援の社会学─社会化のジレンマと家族の変容』(以上、新泉社)、共著書に『現代日本の社会意識──家族・子ども・ジェンダー』(慶應義塾大出版会、2005年)、『社会のなかの子どもと保育者』(創成社、2011年)、共訳書にK. F. パンチ『社会調査入門──量的調査と質的調査の活用』(慶應義塾大出版会、2005年)など